建設業許可を取った後にはやらなければいけない義務があります。【重要】

建設業許可を取った後にはやらなければいけない義務があります。【重要】

2020/11/30

建設業許可を取った後にはやらなければいけない義務があります。【重要】

建設業許可を取ると500万円以上の工事の施工ができるようになったり、許可を受けた事による信用を得られたりとメリットは多くあります。


しかしその反面、許可を出した行政への届出などの義務が課せられます。


代表的なものは以下の5つです。


  1. 許可行政庁への届出義務
  2. 許可看板の提示、帳簿の備え付け・保存、営業に関する図書の保存義務
  3. 契約締結に関する義務
  4. 工事現場における施工体制などに関する義務
  5. 下請代金の支払いに関する義務


これらの義務に違反すると行政処分の対象になり、営業停止や許可の取り消し、刑罰の適用を受けてしまうかもしれません。


各見出しの最後には届出義務の根拠となる建設業法の条文を載せています。


詳しくみていきましょう。



許可行政庁への届出義務

  • 経営業務管理責任者の変更
  • 健康保険等の加入状況の変更
  • 専任技術者の変更
  • 営業所の名称や所在地の変更
  • 資本金額の変更
  • 役員等の就任、辞任
  • 欠格要件に該当した場合
  • 一部・全部の業種の廃業
  • 営業所の電話・FAX番号の変更
  • 毎事業年度終了後の変更届


上記は一部ですが、申請内容の変更があった場合は変更届を提出します。


事業年度終了後の変更届は4ヶ月以内に提出する必要がありますが、

その他のものは事実の発生したときから14日以内に提出するもの、30日以内に提出するものとわかれています。


忘れずに提出してください。


(変更等の届出)
第十一条 許可に係る建設業者は、第五条第一号から第五号までに掲げる事項について変更があつたときは、国土交通省令の定めるところにより、三十日以内に、その旨の変更届出書を国土交通大臣又は都道府県知事に提出しなければならない。

(廃業等の届出)
第十二条 許可に係る建設業者が次の各号のいずれかに該当することとなつた場合においては、当該各号に掲げる者は、三十日以内に、国土交通大臣又は都道府県知事にその旨を届け出なければならない。



許可看板の提示、帳簿の備え付け・保存、営業に関する図書の保存義務

許可看板の提示

建設業許可を受けたら、標識(建設業許可看板)を作ってください。

そして看板を設置しましょう。



建設業の営業と建設工事の施工が、許可を受けた適法な建設業者によって施行されている事を対外的に明らかにするために、営業所と建設工事現場ごとに、公衆の見やすい場所への標識の提示が義務付けられています。

※建設工事現場への提示義務は、発注者から直接請け負った下請負人に限られます。



建設業許可看板についてはこちらの記事で詳しく説明しています。



帳簿の備付け

建設業者は営業所ごとに営業に関する事項を記録した帳簿を備え、5年間保存する義務があります。

※発注者と締結した新築住宅を新築する建設工事にかかるものは10年の保存義務があります。


また、営業に関する図書等も、営業所ごとに保存する義務があります。

この図書の保存期間は、建設工事の目的物を引き渡してから10年間です。



帳簿の備付け等についてはこちらの記事で詳しく説明しています。


(標識の掲示)
第四十条 建設業者は、その店舗及び建設工事(発注者から直接請け負つたものに限る。)の現場ごとに、公衆の見やすい場所に、国土交通省令の定めるところにより、許可を受けた別表第一の下欄の区分による建設業の名称、一般建設業又は特定建設業の別その他国土交通省令で定める事項を記載した標識を掲げなければならない。
(帳簿の備付け等)
第四十条の三 建設業者は、国土交通省令で定めるところにより、その営業所ごとに、その営業に関する事項で国土交通省令で定めるものを記載した帳簿を備え、かつ、当該帳簿及びその営業に関する図書で国土交通省令で定めるものを保存しなければならない。



契約締結に関する義務

建設工事を契約しようとしている当事者は、対等な立場で契約を締結しなければいけません。

その際に、不当に低い請負代金で契約をするように強いることは禁じられています。


請負契約の締結は、後日の紛争防止などの観点から、あらかじめ重要な事項を書面に記載して、お互いに交付することが義務付けられています。


契約書に記載しなければいけない重要事項は以下の15項目があります。

  1. 工事内容
  2. 請負代金の額
  3. 工事着手の時期、工事完成の時期
  4. 工事を施工しない日・時間帯の定をするときはその内容
  5. 請負代金の全部、一部の支払の定めをするときは、その時期、方法
  6. 当事者の一方から設計変更、工事着手の延期、工事の全部・一部の中止の申出があった場合における、工期の変更、請負代金の額の変更、損害の負担、これらの額の算定方法に関する定め
  7. 天災その他不可抗力による工期の変更、損害の負担、これらの額の算定方法に関する定め
  8. 価格等の変動、変更に基づく請負代金の額、または工事内容の変更
  9. 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の額、または工事内容の変更
  10. 注文者が工事に使用する資材を提供したり、建設機械やその他の機械を貸与するときは、その内容、方法に関する定め
  11. 注文者が工事の全部、一部の完成を確認するための検査の時期、方法、引き渡しの時期
  12. 工事完成後の請負代金の支払時期、方法
  13. 工事の目的物が種類、または品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任、またはその責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときはその内容
  14. 各当事者の履行の遅延その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金
  15. 契約に関する紛争の解決方法



(建設工事の請負契約の原則)
第十八条 建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場における合意に基いて公正な契約を締結し、信義に従つて誠実にこれを履行しなければならない。
(建設工事の請負契約の内容)
第十九条 建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従つて、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。


工事現場における施工体制などに関する義務

建設工事現場には、施工状況の管理・監督を行うために、一定の資格・経験を持つ技術者を配置しなければいけません。


主任技術者

1・2級の国家資格者や、実務経験者のことです。

請け負った建設工事を施工するときは、請負代金の大小や、元請け・下請けにかかわらず、必ず主任技術者を配置しなければいけません。

※建設業許可を受けた業者なら、500万円未満の許可のいらない工事であっても、主任技術者の配置が必要です。



監理技術者

1級の国家資格者などです。

発注者から直接工事を請け負った場合(元請けの場合)で、一次下請への発注総額が4,000万円以上(建築一式工事の場合は6,000万円以上)となるときは、主任技術者に代えて、監理技術者を置かなければいけません



(主任技術者及び監理技術者の設置等)
第二十六条 建設業者は、その請け負つた建設工事を施工するときは、当該建設工事に関し第七条第二号イ、ロ又はハに該当する者で当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(以下「主任技術者」という。)を置かなければならない。



下請代金の支払いに関する義務

下請代金の支払に関するルールが決められています。


現金支払い

下請代金の支払いは、出来る限り現金払いにしなければいけません。

特に、労務費にあたる部分については、現金で支払うように配慮しなければいけません。



前払金

前払金を受けたときは、下請負人に対して資材の購入、労働者の募集、その他建設工事の着手に必要な費用を前払金として支払うように配慮しなければいけません。



有償支給の資材代金の回収時期

下請工事に必要な資材を注文者が有償支給した場合は、正当な理由がある時を除いて、その資材の代金の支払い期日前に下請負人に支払わせてはいけません。



検査・引渡し

下請工事の完成を確認するための検査は、工事完成の通知を受けた日から20日以内に行なわなければいけません。

検査後に下請負人が引き渡しを申し出たときは、すぐに工事目的物の引き渡しを受けなければいけません。



下請代金の支払期日

注文者から請負代金の出来高払い、竣工払いを受けたときは、その支払の対象となった工事を施工した下請負人に対して、相当する代金を1ヶ月以内に支払わなければいけません。



特定建設業者に係る下請代金の支払期日の特例

特定建設業者は、下請負人(特定建設業者、資本金4,000万円以上の法人は除きます)からの引き渡し申し出日から起算して、50日以内に下請代金を支払わなければいけません。



割引困難な手形による支払の禁止

特定建設業者は、下請代金の支払いを一般の金融機関による割引を受けることが困難となる手形により行ってはいけません。



赤伝処理

赤伝処理を行う場合は、元請負人と下請負人の双方の協議・合意が必要です。

また、元請負人は、その内容や差引額の算定根拠等について、見積条件や契約書に明示しなければいけません。



不利益取り扱いの禁止

元請負人は、下請負人が監督行政庁等に通報した事を理由として、その下請負任に対して、取引の停止や不利益な取り扱いをしてはいけません。



(下請代金の支払)
第二十四条の三 元請負人は、請負代金の出来形部分に対する支払又は工事完成後における支払を受けたときは、当該支払の対象となつた建設工事を施工した下請負人に対して、当該元請負人が支払を受けた金額の出来形に対する割合及び当該下請負人が施工した出来形部分に相応する下請代金を、当該支払を受けた日から一月以内で、かつ、できる限り短い期間内に支払わなければならない。

(検査及び引渡し)
第二十四条の四 元請負人は、下請負人からその請け負つた建設工事が完成した旨の通知を受けたときは、当該通知を受けた日から二十日以内で、かつ、できる限り短い期間内に、その完成を確認するための検査を完了しなければならない。

(特定建設業者の下請代金の支払期日等)
第二十四条の六 特定建設業者が注文者となつた下請契約(下請契約における請負人が特定建設業者又は資本金額が政令で定める金額以上の法人であるものを除く。以下この条において同じ。)における下請代金の支払期日は、第二十四条の四第二項の申出の日(同項ただし書の場合にあつては、その一定の日。以下この条において同じ。)から起算して五十日を経過する日以前において、かつ、できる限り短い期間内において定められなければならない。

(不利益取扱いの禁止)
第二十四条の五 元請負人は、当該元請負人について第十九条の三、第十九条の四、第二十四条の三第一項、前条又は次条第三項若しくは第四項の規定に違反する行為があるとして下請負人が国土交通大臣等(当該元請負人が許可を受けた国土交通大臣又は都道府県知事をいう。)、公正取引委員会又は中小企業庁長官にその事実を通報したことを理由として、当該下請負人に対して、取引の停止その他の不利益な取扱いをしてはならない。

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