建設業許可の申請で500万円というお金が必要なワケ

建設業許可の申請で500万円というお金が必要なワケ

2020/10/28

建設業許可の申請で500万円というお金が必要なワケ

初めまして。行政書士の岩田です。

建設業許可の要件の一つ【財産的基礎】についてわからないことがありませんか?


例えば、

  • 500万円のお金がないと申請ができないって聞いたよ。
  • 会社の資本金は100万円だけど申請できそう?
  • 毎年500万円のお金を見せないといけないの?


こんな疑問はありませんか?



この記事を読む事で、建設業許可の要件の一つ【財産的基礎】がよく分かるはずです。


  1. 【財産的基礎】とは
  2. 一般建設業の場合
  3. 特定建設業の場合
  4. Q&A
  5. まとめ

上記の順番で説明していきます。

是非この記事を参考にしてください。


財産的基礎とは 

建設業許可を取得するためにはいくつかの要件があり、そのうちの一つがこの財産的基礎(財産要件)です。



建設業の請負契約の内容を実際に実行するなら人やモノにお金がかかるよね?だったらそのお金があるかどうかを証明してね。

このような感じで一定以上の資産があるかどうかを審査されます。



許可の業種や、知事許可、大臣許可では要件に違いはありません。

しかし、一般と特定で要件が違い、特定は一般に比べて厳しい要件になっています。



一般建設業の場合 

一般建設業の場合は500万円以上の資産・財産があるかどうかの審査です。

建設業の取得を考えるとよく聞く、「500万円必要」というのはこの事です。



次の3つのうちどれかに当てはまれば要件はクリアできます。

ただ、初めて許可を取る場合は1か2のどちらかにしか該当しません。


  1. 自己資本が500万円以上ある
  2. 500万円以上の資金調達能力がある
  3. 申請直前の過去5年間許可を受けて営業している(更新)



自己資本が500万円以上ある

法人の場合、直前の決算書の、貸借対照表の純資産の部の合計が500万円以上であること



個人の場合、確定申告書の期首資本金・事業主借勘定・事業主利益の合計から事業主貸勘定を引いた額に、負債の部に計上されている利益留保性の引当金、準備金の額を足した合計が500万円以上であること

(期首資本金+事業主借勘定+事業主利益)− 事業主貸勘定+(引当金+準備金)



12月31日の貸借対照表の資産合計から負債合計を引いたものが自己資本です。

また、個人の場合は65万円の青色申告特別控除の適用を受けている場合だけ、正規の簿記の原則により一定水準の記録を行なっているとみなされ、確定申告書での証明ができます。



500万円以上の資金調達能力がある

銀行口座に500万円以上入っていれば、残高証明書を発行してもらい、これで証明できます。

他にも、500万円の融資を受けれるという事を証明できる、融資証明書でも構いません。



※残高証明書の有効期間は残高日から申請の受付日まで1ヶ月です。複数の金融機関の合計でも、残高日が同じなら有効なものとして使えます。

※融資証明書の有効期間は発行日から申請の受付日まで1ヶ月です。ただし、1ヶ月を超えていても金融機関の指定した期間内なら有効なものとして使えます。



申請直前の過去5年間許可を受けて営業している(更新)

更新を受ける場合はこの財産要件は必要ありません。

5年間ちゃんと営業していたことが財産的基礎があると評価されます。



特定建設業の場合

特定建設業の場合は一般建設業よりも要件が厳しく設定されています。



次の4つの全部に当てはまらないといけません。


  1. 欠損の額が資本金の20%を超えていないこと
  2. 流動比率が75%以上あること
  3. 資本金の額が2,000万円以上あること
  4. 自己資本の額が4,000万円以上あること



欠損の額が資本金の20%を超えていないこと

欠損の額とは、とても簡単に言うと【赤字】の事です。



法人の場合は、貸借対照表の繰越利益剰余金がマイナスの場合に、そのマイナスが資本剰余金、利益準備金、その他の利益剰余金の合計が資本金の20%を超えていない事

繰越利益剰余金がプラスの場合は欠損額はありません。



個人の場合は、事業主損失が、事業主借勘定の額から事業主貸勘定の額を引いた額に、負債の部に計上されている利益留保性の引当金、準備金を足した合計の20%を超えていない事



流動比率が75%以上あること

流動比率の求め方

流動比率=流動資産÷流動負債×100



流動資産は、1年以内に現金化される資産で、流動負債は1年以内に返済しなければならない負債です。

資金繰りを安定させたいなら、流動負債の額を超える流動資産を持つ方が良いということになるので、流動比率は高ければ高いほど良いとされています。



この流動比率が75%以上あることが要件です。



資本金の額が2,000万円以上あること

「資本金」は各組織で表現が違い、以下のようになります。


  • 株式会社→払込資本金
  • 特例有限会社→資本の総額
  • 持分会社(合名、合資、合同会社)→出資金額
  • 個人事業主→期首資本金



自己資本の額が4,000万円以上あること

法人の場合は、純資産の合計


個人の場合は、確定申告書の期首資本金・事業主借勘定・事業主利益の合計から事業主貸勘定を引いた額に、負債の部に計上されている利益留保性の引当金、準備金の額を足した合計



Q&A

Q.新しく会社を設立し、同時に一般建設業許可を取ろうと考えています。資本金は100万円でも建設業許可は取れますか?


A.資本金は100万円でも許可は取れます。

ただ、新しく会社を設立して同時に建設業許可の申請をする場合は、会社の銀行口座を作ってから残高証明書の請求をすることになります。

直ぐに申請したい!ということなら資本金を500万円にして会社を設立すれば財産要件をクリアできるので、最短で申請できます。



Q.普段使っている銀行口座と、事業で使っている銀行口座があります。

2つを合わせれば500万円を超えるんですが、1つにした方がいいですか?


A.残高日が同じ日の500万円以上の残高証明書を発行できるなら1つにしなくても構いません。



Q.残高日から受付日ってありますが、受付日っていつですか?書類を持っていった日ですか?


A.静岡県庁の建設業許可班に申請書類が受付された日の事を「受付日」と呼びます。

受付されると「建設業許可申請受付票」がもらえます。

書類に手違いなどがあると書き直しや追加資料を求められてしまい、受け付けてもらえません。



まとめ

建設業許可の財産的基礎、財産要件についてわかりましたか?


 500万円以上の財産を証明するのは初回の1回だけです。

毎年の決算終了後の変更届をしっかりと出していれば更新の時にも提出する必要はありません。


また、一般建設業に比べると特定建設業の要件が厳しく設定されています。

一般建設業許可を受けている状態から特定建設業許可に変える場合は、資本金の増資などの手続きが別途必要になります。


行政書士岩田事務所では、静岡県で建設業許可を取得しようとしている方に対して、無料相談を実施しています。


お気軽にご相談ください。

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